一人暮らしのガス代(プロパンガス)の平均は?
プロパンガスを使用している一人暮らし世帯のガス代は、平均で月々4,893円程度*1です。
1ヶ月あたり約3,000円前後*2の都市ガスと比較すると、プロパンガスは、金額面でやや割高な印象を受ける方が多いのではないでしょうか。
*1 2015年国勢調査「世帯数」/2015年家計調査「品目別支出金額」/2015年石油情報センター「LP(プロパン)ガス小売価格」より算出
*2 東京ガスのWebサービス「my TOKYO GAS」の平均データより
プロパンガス料金が高いわけ
プロパンガスの料金が都市ガスと比較して高いのは、①火力の違い、②配送コストの差、③自由料金、という3つの理由によります。
プロパンガスの火力は都市ガスの約2.2倍。つまり、同じ量(+温度)の水をお湯にする場合、プロパンガスは都市ガスの約2倍のスピードでお湯を沸かすことができます*3が、その分、1m³あたりのガス料金単価も都市ガスと比較すると高めに設定されています。
*3 都市ガス用のガスコンロは、プロパンガス用のコンロと比較して多くのガスが出る構造となっているため、実際の沸騰時間はほぼ同一。
また、配送コストの差も無視できません。都市ガスが、地中のガス管を通してガスを供給する仕組みであるのに対し、プロパンガスでは、事業者がガスボンベにガスを充填し、各家庭まで配送します。輸送にかかる人件費や材料費、ガソリン代の一部は、プロパンガスの料金に反映されています。
さらに、プロパンガスが自由料金である点も、プロパンガスの料金をアップさせる要因となっています。本来であれば、事業者同士が価格競争をすることで、低価格化が期待できる自由料金制度ですが、プロパンガス業界では長らく、事業者同士が顧客の奪い合いを制限し、ガス料金を高水準にキープする施策を行ってきました。
ほぼ競争のない状態が長く続いたため、プロパンガスは公共料金ではなく自由料金である(供給するガス会社を自由に選ぶことができる)という意識が根付いていない地域も少なくありません。
一人暮らしのガス代を節約する方法 その1:ガス会社を切り替える
プロパンガスの料金を節約するもっとも効果的な方法とは、基本料金や従量料金が現在よりも安いプロパンガス会社に切り替えることです。
プロパンガスの料金は、使用量に関わらず毎月発生する「基本料金」と、ガス使用量に応じて変動する「従量料金」という2種類の料金体系を合わせて計算されます。
一人暮らしのガス代(平均4,893円)から、1ヶ月あたりのガス使用量を計算すると、おおよそ5~7立方メートル。一人暮らし世帯は、2人以上の世帯と比較すると、ガスの使用量が少ない傾向にあるため、ガス料金の中でも特に「基本料金」の部分を抑えられるガス会社を選ぶことで、ガス代の節約効果を高めることができます。
プロパンガス料金のしくみ(全国相場の場合*4)
*4 プロパンガスの料金の相場はいくら?(プロパンガス消費者センター)
ニチガス
プロパンガス事業者の中でトップの顧客件数を誇る。タンクローリーを使用した従来のLPガス輸送方法を見直し、大規模なLPガス基地(ハブ)を設置するなどの効率化で輸送コストを削減。基本料金・従量料金は、ともに関東エリアのプロパンガス料金の相場を下回る。標準のガス料金以外に、従量料金がお得になる「20%引きプラン」や「2年間固定単価プラン」も提供。
また、プロパンガスのほか、東京電力エナジーパートナーとの提携により、電力や都市ガスの供給もスタート。ガス料金の支払い方法でクレジットカードに対応していない点は残念だが、プロパンガスを切り替える際の有力な選択肢の一つ。
エネピ
アイアンドシー・クルーズが運営するプロパンガスの一括見積サイト。全国のLPガス会社と提携し、エネピの採用基準を満たした約20,000社の優良ガス会社の中から複数社の見積もりを提示してくれる。提示されたガス料金に納得できない場合は断ることも可能。見積もりの提示から切り替えまで、すべてカスタマーサポートが担当し、プロパンガスの切り替えに関する各種相談にも対応している。
プロパンガスの切り替え方法
- 持ち家の場合
持ち家の場合は、契約者の意思でいつでもプロパンガス会社を切り替えることができます。
地域のガス会社を調べ、基本料金や従量料金を比較してみましょう。1社1社を調べるのが面倒な場合は、「エネピ」や「プロパンガス料金消費者センター」といったプロパンガス比較サイトを活用するのも一つの方法。これらの比較サイトは、ガス会社の価格情報を提供するだけではなく、切り替え後の不当な単価引き上げを防止する契約を各ガス会社と締結していることが多いため、プロパンガス料金を見直したい消費者にとって非常に利用価値の高いサービスです。
- 賃貸住宅の場合
賃貸住宅の場合は、プロパンガスを切り替える際に、家主や管理会社の許可が必要です。周囲のプロパンガス価格を調べ、切り替えることで大きなメリットがある場合は、それを伝えて交渉してみましょう。戸建て賃貸や小規模戸数の賃貸、入居者が家主と個人的に付き合いがあるようなケースであれば、切り替えについての提案も比較的通りやすい傾向があります。
ただし、賃貸では、プロパンガス会社が契約と引き換えにガス機器や設置工事を優遇しているケースがあり、切り替えの提案が通りにくい場合もあります。
一人暮らしのガス代を節約する方法 その2:ガスの使い方を見直す
ガスの使用量そのものが、平均と比較して多い場合は、普段の生活の中でガスの使い方を見直してみましょう。
家庭内でもっともガスを使用するのは、お風呂をはじめとした給湯器設備です。ガスコンロのガス消費量は、給湯器と比較すると少なめですが、使用頻度が多い(毎日料理をする)場合は、使い方を工夫することでガス代の節約になります。
お風呂—給湯器のガス代節約方法
- お湯の設定温度を下げる(夏は38~40度、冬は40~42度など)
- お風呂と給湯の設定温度を分ける(お風呂は42度、給湯は40度など)
- 夏場などにシャワー中心で過ごす
- お風呂の保温機能は使わない
- 保温グッズで湯船の温度を下がりにくくする(追い炊き機能の使用を減らす)
キッチン—ガスコンロのガス代節約方法
- ガスコンロの火力は中火にする(炎が鍋の底からはみ出さないようにする)
- 野菜など火の通りにくい食材は電子レンジで下ごしらえ
- 食事を作る際はガスコンロが冷えないうちにまとめて調理する
- 複数の料理を1つの鍋やフライパンで作る(冷えた鍋・フライパンを温める際に消費するガスを節約する)
- ガスコンロをこまめに掃除する